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ジャズ探訪記関西を中心に、往年の名盤を聴かせるバーから、生演奏も楽しめるレストランまで人気のジャズスポットを紹介!

vol.75
STB139スイートベイジル

音楽と食は明日への活力! 結婚式もできるライブレストラン
@東京・六本木

六本木駅からわずか3分。
シックなレンガのスロープと豊かなグリーンが縁取る洗練されたたたずまい。エントランスの階段沿いに並べられたバジルやローズマリーの鉢植えがかわいい。その階段を上がって突き当たりのドアを開けると、一見敷居の高そうな外見とは異なり、カジュアルなTシャツ姿の元気なスタッフとローズウッドのほのかな香りが出迎えてくれた。
今回ご紹介するライブレストランSTB139スイートベイジル(以下STB139)は、ガーデンテラス付きの戸建、全250席という都内でも有数の大型店。

「STBとはSound-ful Taste-ful herB-fulの略で139は店舗の位置する東経139度の意味。トップアーティストによる音楽と健康的で美味しい食事を楽しんでいただける店、というコンセプトなんです」。そう話すのは、支配人・鬼頭広樹さんとアシスタントマネージャ・中村庸一さん。STB139はスパイス&ハーブのS&B食品株式会社の直営店であり、鬼頭さんはもともと本社で20年以上、食品の営業や商品企画担当をしていた「食」のスペシャリスト。一方中村さんは、学生時代にはトロンボーン奏者として吹奏楽やビッグバンドで活躍した経歴の持ち主。まさに「音楽と食の店」にぴったりの最強コンビですね。

「一ヶ月のスケジュールを眺めていただければ、なにかしら行きたいジャンルのライブが見つかるはず」と中村さん。ジャズにポップス、ロック、ソウル、ワールドミュージックにフラメンコ。特に定期的に出演しているジャズ・ミュージシャンの顔ぶれはホント、豪華そのもの。渡辺貞夫、日野皓正、寺井尚子、綾戸智絵、平賀マリカ、国府弘子、前田憲男とウインドブレーカーズ、熱帯ジャズ楽団、本田雅人B.B. STATION、エリック・ミヤシロ EM BAND、守屋純子ジャズオーケストラetc…。うーん、まさに日本のジャズシーンを牽引しているトップアーティストが勢揃い、といった感じ。今晩も新進気鋭・注目の作曲家でピアニスト、挟間美帆『ジャーニー・トゥ・ジャーニー』発売記念ライブが行われる。さきほど会場で、観客の中に彼女の師匠・山下洋輔氏の姿をお見かけしたばかり。

「充実したライブの印象と同様に、レストランとしての認知度も高めていければ。産地直送の新鮮な生ハーブ類や・高品質な食材を使い、リーズナブルに提供できることなど、母体が食品会社だというメリットを充分にアピールしていきたいですね。出演アーティストとメニューをリンクさせた企画には特に力をいれています」と鬼頭さん。
そのひとつが数年前から始めた全席指定のディナー形式のライブ。クリスマスから年末にかけ、ビュッフェスタイルの食事を楽しみながら演奏を聴くというライブハウスとしては珍しい趣向。昨年は『綾戸智絵クリスマスプレミアムライブ』を開催。ホテルのディナーショーに負けない、本格的な音響設備をもつライブハウスならではのイベントとして、定着し始めたそうだ。

さらにSTB139のユニークな点は、なんとここで結婚式ができるということ。いったいどんなお客様が利用されているのでしょう、という質問におふたりが答えてくださった。
「趣味で演奏活動をされている方がほとんどですね。約4割がアマチュアビッグバンドの方。ガーデンテラスで挙式後、披露宴では、皆さん趣向を凝らして楽しまれています。サックスを吹きながら階段から登場したり、花嫁がドレス姿のまま演奏したり。新郎新婦が別のバンドに属し、それぞれの仲間がいっしょにステージに上がって演奏したら、客席は親族だけになっちゃった、なんてこともありました (笑)。音響は通常のライブと同じスタッフが担当しますので、『プロ仕様』であることはもちろん、ソロの出番に当てて、音とスポットをぴったり合わせるなどの細かい演出にもお応えできるんですよ」。
へえ〜、なんだか楽しそうですねえ。いいなあ。
「STB139は、カジュアルで暖かな居心地の良さを大切にしています。会社帰りにいつでも気軽に立ち寄っていただければ。音楽と食は明日への活力ですから」。

取材を終え、席に戻ると、いいタイミングでお茶が運ばれてきた。生のハーブを使ったフレッシュハーブティーをいただけるところは都内ではめずらしい。柔らかな芳香は、今始まったライブのサウンドとともに、心地よくたっぷりと広がった。