Over Seasと聴いて、「ああ、あれね」と思ったアナタはけっこうジャズ通かもしれない。しかも2つの意味で。 もちろんこれは、「トミー・フラナガンの曲」のですね。そしてもうひとつのほうは、あの「フラナガニア・トリオの寺井さんのお店」。はい正解!では階段を上がってドアを押してください。
ところで、トミー・フラナガンである。 寺井さんのトリオの名前もフラガニア・トリオ、お店の名前はオーバー・シーズ。 店中に彼の写真やサインが飾られているくらいならまあ驚かないんだけど、どうしてそこまで彼の音楽にのめりこんだんです? …とお聞きしても、「いやあ、それは個人の好きずきだから…」と、多くを語らない寺井さんなのだが、奥様のの言を借りるなら「フラナガン命ですから」ということらしい。 それが証拠に…というのもヘンな話だけど、寺井さんは現在も、トミー・フラナガンの全曲(!!)を解説する著作を執筆中。 「僕が書かなければ、彼の音楽が途切れてしまう。全部を知ってる僕が書かなきゃ、後世にきちんと伝わらないんです」一度は弟子入りを断られたとはいうものの、トミー・フラナガンの高弟なればこその自負でもあり、ある種の危機感でもあるのだろう。既刊は7号まで、もうすぐ8号が出るということだ。
さて、「全部ここで…」の一環でもあるのだけど、Over Seasでは、寺井さん直々の指導によるジャズピアノ教室も開かれている。いや、教室という言い方はちょっと違うかな。なぜなら、「このお店で、このピアノで、寺井さんが直に指導してくれる」からである。つまりは、プロのジャズメンが、レコーディングに使う楽器で、生徒の隣に座って教えてくれるわけで。メチャメチャぜいたくなピアノ教室でなのである。
堺筋本町は「会社のすぐそば」という人も多いだろう。そして、ジャズピアノを聴きたいだけの人も、弾きたい人も、こりゃあぜひ一度来なくちゃね。