店内は、表から見た感じよりもずっと広い。約20席ということだけど、もっと入ってもゆとりがありそうに見える。重厚なカウンターとテーブル席がきちんとレイアウトされていていかにも居心地よさそうだ。お店に入るとすぐに気がつくことだけど、店内のあちこちに、ホンッとにいろんなものが飾られている。人形あり花あり,いろんなサインあり、古いカメラやアンティークらしいものも並んでいる。 レコードジャケットを飾ってあるお店はたくさんあるけど(もちろん、ここM's Kitchenにもそうだ )、でもここまでいろんな物が並んでいて、しかもすっきりしてる所はいままでなかったんじゃないかな?ビジュアル系の一人として言わせてもらうなら(いや、外見じゃなくて仕事が、ですけどね)このセンスは、 「なまなかなものではない…」のである。 で、それに加えて、である。 カウンターやテーブルのしつらえをみていると、「飲食」の部分にもそうとう気を遣われているのがよくわかる。なんというかなあ、グラスやカトラリーのチョイスにも「本気」が感じられるんですね。そういえば、お店の外にも「カレー庵(←変換できないんですが…全部漢字です)」という、そそられる言葉があちこちに踊っていたなあ…。
店内にはきちんとライブ用のスペースも確保してあり、ギターやドラムが所狭しと並んでいる。なんでも毎週火曜日は、村井さん曰く「テケテケナイト」(笑)、つまりベンチャーズ好きが集まるライブの日なんだそうだ。なぜ火曜日かというと… 「お隣のお寿司屋さんが火曜日定休なので、夜に大きな音出しても迷惑にならないので(笑)」ハハハ、なるほど。 村井さん自身もこの日にはギターで参加。あれ?アート・ブレイキーでジャズにはまったってことは…ドラムじゃないんですか? 「いや、ジャズではドラムなんですがね(笑)ベンチャーズはやっぱりギターでしょ」 ははあ、なるほど。このあたりが,このお店の明るい雰囲気作りに一役買っているんだろうな。居並ぶ楽器たちの顔にも、村井さんの音楽に対する愛情が感じられるような気がする。 そして自慢のスピーカーは、JBL/メトロゴンである。パラゴンてのはよく聞くんですが…? 「メトロゴンは、パラゴンよりひとまわり小さいタイプなんです。これが見つかったのは沖縄でした」 ご他聞に漏れず、やはりストーリーのあるスピーカーなんですねえ。マッキントッシュのアンプも、「全ては生音に近づけるために組んだ」というシステムということだ。うーん、さすがにしっとりとしたいい音だなあ。
さて、さっきから気になってるカレーなんだけど。 お店の名物は「陶板焼きカレー」。陶板焼きって?お聞きすると,「これがそうです」と、キッチンから持ってこられたのは黒い土鍋のようなもの。ほら、なんていいましたっけ、京都の老舗のスッポン料理の店。あそこで使う一人分の土鍋、あれみたいですねえ。 この信楽焼きの陶板で,いろんな具を煮込んで,さまざまなスパイスを絶妙のブレンドで仕上げたカレーと合わせて食べるわけだ。じゃあ冬向きのカレーかと思いきや,夏バテ対策にもバッチリなんだそうだ。 前職は食品関係のお仕事だったという村井さんは栄養士さんでもあって、その言葉にも重みがある。音楽も料理も「本気」な感じ、あれはこんなところからきているんだろうなあ。いや、かなりナットクです。
「我々はモロに団塊の世代。同じ世代のオヤジたちにもっと音楽を楽しんでほしい。聴くことも演奏することもね。音楽好きの人の癒しの場でありたいなあと思っているんですね。だからAUTHENTIC&ORTHODOX,そしてCOMFORTをコンセプトとしています。音楽を聴いたり、あるいはお酒を飲んだりカレーを食べたり、ゆっくりとくつろげる空間にしたいですね」 ゆくゆくはスタジオをも作りたいという村井さん。まだまだ夢は続きますね!!