ジャズ探訪記 バックナンバー
●ジャズ喫茶 JAMJAM
地下に隠れた、まさに「穴場」スポット。
JR元町からもほんの数分、おいしそうなパン屋さんがあったり、おいしそうな肉まんの店があったり…。おお、この餃子のお店は移転したんだなあ…なんて思いながら海側に歩く。
ジャズとは無関係な誘惑も多いこの辺り。どことなくエキゾチックな匂いのする街角を西に折れたら、すぐに見つかるのがジャズ喫茶「ジャムジャム」だ。
「ジャズ喫茶ってこんな感じだよね」っていうイメージが確かにあって。
1.薄暗くて、
2.なんか古っぽくて、
3.難しい顔をしたマスターがいて、
4.馴染みらしい(つまりはマニアっぽい)客が
5.いかにもウンチクを語りたそうな様子で
6.むつかしい顔をして音楽を聴いている…。
こんなイメージってありません?
ありますよね、事実、70年代くらいには、そんなふうなのこそが「正しいジャズ喫茶」だったわけで、そのとおりのお店もいまだにたくさんあるみたい。
幸い、この「ジャズ探訪記」ではそういうムツカシい所には出会ってないんだけど…今回お邪魔する「ジャムジャム」は、いったいどんなお店だろう?
ヘアサロンやレストランのサインも見えるビルの地下、エレベーターを降りると、もうそこがエントランス…、あれ、なんだこれ。
壁には映画のポスターが並んでいる。「死刑台のエレベーター」とかならナルホドだけど、これはジャズとは無関係だし、しかも新しい、地味ながら評価の高い佳品のものだ。公開前の作品まである。
「薬指の標本」、「やさしい嘘」…、映画好きなら、もうここで「あ、ナルホド」って思うはず。僕は映画には疎いけれど(あ、ジャズにも詳しくないんですけどね、スミマセン・笑)、もうここですでに、お店のセンスがわかっちゃう気がしますね。突き当たりの、ペパーミントグリーンに塗られたドアの向こうがいよいよ「ジャムジャム」だ。




 
お、さすがに大音量のジャズが聴こえる。でも、なんか違うぞ。
すぐに目にとまるのは長いカウンター。並んだボトルもコーヒーカップもいかにも清げで気持ちいい。観葉植物が目にも爽やかにレイアウトされていて、さらに座り心地の良さそうなソファが並んでいる。
棚に溢れんばかりのレコードは当然としても、2台ならんだターンテーブルは何だろう?えー、ジャズ喫茶というより、クラブとかカフェの雰囲気なんじゃない?
思い込みのイメージと実際のお店とのギャップに悩んでいると、そこに颯爽とあらわれたのがオーナーの池之上義人さん。シャツをはおった姿がいかにもこなれたアメリカン・カジュアル、実にオシャレです。お聞きすると、なんと御歳○○歳!じゃあ、あそこのスタッフの女の子となら親子でもおかしくないですねえ…って、え、本当に親子なんですか!
ずっと前からお店を手伝っているというオーナーのお嬢さんは、なんとまだ高校二年生なのだとか。こんなに早くからジャズの英才教育(?)を受けているとは末恐ろしい。いや違う、なんとも頼もしい。そしてその若さも、すんなりここの雰囲気になじんでいる。いや逆に、それくらい新しい、UP TO DATEなお店だということだろうなあ。
ジャズがかかってるのは当然だけど、不定期にライブやイベントも行われるそうだ。中でもおもしろそうなのが、月に一回くらいの割で行われる詩の朗読で、即興の詩あり、持ち込みの詩あり。お客さんがそれぞれに朗読をするんだそうだ。それに合わせて音を選んでDJをするのも池之上さんご自身(あ、2台のターンテーブルはそのためだったんですね)なんだそうだ。
「いや、まったく商売がヘタで…」と苦笑する池之上さんだけど、「ジャムジャム」ももう延べ20年の歴史を持つ。震災後のブランクも、「ちゃんと音を出せる場所が見つからなくて」という理由だったらしい。
「古いジャズの良さはもちろん、新しいジャズの良さも提供できる店でありたいんです。そうやっていつでもお客さんをビックリさせたいですね(笑)」
今までのジャズ喫茶にこだわることなく、常に新しいスタイルを常に模索しているというこのお店。きっといつ来ても、その度に新しい発見があることだろう。
その自由さと柔軟さは、ジャズの魅力そのものなのかもしれない。
ジャズ喫茶 JAMJAM
●神戸市中央区元町通1-7-2 ニューもとビルB1
●TEL:078-331-0876
取材日:2007.11.07
●http://jamjam.tonosama.jp/
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