ジャズ探訪記 バックナンバー
JAZZ CAFE BAR  STAGE(ステージ)
熱い思いは内に秘めて…。
JR 伊丹駅を降り、改札を出たらすぐ左へ。徒歩5分…といいたいところだけど、そんなにもかからないくらい。なにしろ歩道橋の向こうに、もう「ステージ」は見えてるんだから(笑)。
隣には劇場、向かいにはスーパーマーケットもあり、ジャズのお店と言うにはあまりにもオープンな感じでちょっと意外。なんていうか、「フツーのカフェ」の顔をしてるんですよね。ほら、ジャズのお店って、路面店って少ないじゃないですか。でも、ここ「ステージ」は例外。会社帰りにでも、買い物のついででも、休日の散歩の途中にだって気軽に立ち寄れるロケーションだ。
この意外さはお店の中でも続いていて。
むき出しのカラフルなパイプやダクトがそのまま装飾になっている、この天井の高さ!さしわたし2メートルもあろうかという、巨大な木製の鳥のモビールさえ静かに揺れている。その向こうには、これも実にゆったりスペースをとったカウンター。「ビッグバンド・ジャズのライブもやりました」という空間の広さ。
あ、そうか。このお店って、あんまり夜っぽくないんだ。あちこちのデティールが、どこかあっけらかんとしているというか、開放的な明るさがあるんですね。
逆に、ジャズっぽいところを探すと(笑)、なんといってもこのスピーカーだろうなあ。
見た目からして暖かい、ウッディなお姿。その名もJBLのオリンパス!オーナーさん自身、長年夢にまで見たというこのシステム、やっと3年前に導入できたのだそうだ。オーディオには全然詳しくない僕だけど、この暖かい音、自然な響きはよくわかる気がする。耳へのアタリがとても柔らかい。
しかし、マニア垂涎のこのスピーカーの上にもラジコンのヘリコプターなんか飾られていて(笑)。ちっともエラそうじゃないんでありますね。そういえば、ピアノの上にも音楽雑誌がなんとなく並べられていたり、CD が収められたラックもお店の奥とか隅っこのほうに配置されていたり…。
どうも、こう、主張を避けているような、とってもシャイというか奥ゆかしいというか、そんな感じがするんだよなあ。





 
オーナーさんにお話をうかがって、そのナゾはちょっと解けました。
オーナーのMさん(あんまり名前も出して欲しくないとのことで仮名で。このあたりがすでにシャイでしょう?・笑)は、建築設計の方のお仕事が本業なのだとか。
高校の頃にジャズと出会ったものの、当時の伊丹にはジャズを聴かせるお店がなく、神戸や大阪まででかけていたのだそうだ。「地元でジャズを聴ける場所が欲しい」というのが、このお店を開くきっかけになったそうなんである。
その頃からあちこちのジャズ喫茶の推移を見るうち、「いかにもジャズ」というやりかたではいけないのではないか?という考えるようになったらしい。そして現在のような、ジャズ好きな気持ちを押しつけないような雰囲気の店作りにつながったということだ。でも「主張しない」ということと「主張がない」ということとはまったく違う。お話を聞いていると、Mさんのジャズに対する熱い想いが、チラホラと顔を見せるんですよね。(このあたりは、ぜひ上記アドレスのホームページを覗いてみて!)
ジャズと出会って以来のマイルス・デイビスのファンであること、あんまり音楽に関心なさそうだったお客さんが、帰り間際に「さっきかかった曲は何ていう曲ですか?」と尋ねてくれたこと、お客さんの意見を聞きながら新しいCDを集めていること、そしてまだまだ集めたいマイルスのCDがたくさんあること…。
ただ、どうもそれをストレートに出すのは照れくさいということで(笑)。そのあたりの奥ゆかしさが、開店以来18年も続いているヒミツかもしれませんね。
そうそう、「ステージ」の魅力は音楽や内装ばかりではなくて。
おいしそうだったオリジナルのサルサライス(低カロリーでビタミン豊富!)やスウィーツ、ソフトドリンクからアルコール類までバラエティ豊かなメニューも見逃せない。日曜・祭日以ならランチだってある。ライブは不定期だけど、いつだって気軽に、そして誰と来たって、音楽と食事を楽しめるお店だ。
jazz cafe bar STAGE
●伊丹市伊丹2丁目4-1
●TEL:072-777-3818
取材日:2007.08.25
●http://www.geocities.jp/stage_jazz  
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