- vol.102
- le club jazz
ゆったりまったりはんなりと…
@京都・三条
道がいい。
歩いてみたくなる街なのだ、京都は。
そんな京都の三条通りを河原町から西へ、御幸町のモダンなビルにル・クラブ・ジャズがある。
エレベーターで二階に上がると、なんともゆったりした空間。ダークトーンで統一されている店内はいかにもジャズのお店だけど、禁煙ということもあるのか、空気まで爽やかである。
以前は祇園・先斗町でピアノバーを経営されていたというオーナーの加藤さん。ゆったりとした京都弁で話される加藤さんがこのビルにお店を開いてもう20年になるという。そして、そのきっかけが「知りあいが誘ってくれて…」と、人と人とのつながりだったというのがいかにも京都らしい。この街に生まれ育った人ならではのお店なのかもしれませんね。
ステージにある格子には、これまで訪れたミュージシャンたちのたくさんのサインが並ぶ。
白いピアノにもちょっと驚くのだけど、いちばん意外だったのはテーブルクロスがなんと紙(!)。お聞きすると、ライブ中に落書きというか、ここにスケッチをしていくお客様もいるのだそうだ。へえ、落書きねえと思ったけれど、イラストの方を見ていただきたい。こんなレベルのイラストを描いて、そのまま置いていく人がいるというのだ。いやはや、僕などもうかうかしてはいられない。
それとぜひ見ていただきたいのは古いオルガン。いかにも由緒正しいこのオルガンももちろん現役、家具のような艶が美しい。
「入れ替えはキライ、ゆっくり2ステージ見ていってほしい」加藤さんはそう仰る。女の子がふらっと一人で来店することもけっこうあるようで、それもこのお店の余裕のせいかもしれない。さすがに学生の街というべきか、大学のビッグバンドのメンバーも足繁くやってくるらしい。なんというか、「懐の深さ」みたいなものをみんなが感じているんでしょうね。それはまるで、京都の路地(もちろん「ろおぢ」と読みましょう)の、迷路のような奥深さと一脈通じているのかもしれない。
「CDを聴くより一回のライブを聴いてほしい」と加藤さん。確かに。
いやしかし、ステキなお店である。一回と言わず、裏を返し、ぜひとも馴染みになってほしいものだ。