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80年代のいわゆる「ギャルバン・ブーム」以来、ロックを志す女の子、ギターを弾く女の子は増えていると思いますが、安達さんの場合はどんなことがきっかけだったんですか? |
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「私の場合、兄の影響が大きかったですね。兄は5歳上で世代的にはビジュアル系バンドの最盛期なんですが、もう大人の人たちと一緒にブルースバンドをやっていました。自宅にもジミ・ヘンドリックスやバディ・ガイのレコードがいっぱいあって、自然にそんな音楽に親しんでいたんです。それに加えて、当時深夜のテレビでやっていたブルースの番組を見たことがギターを始めるきっかけでした。その番組では、今も活躍されている女性ブルースギタリストが出演されていて、『なんてカッコイイんだろう!私もあんなふうになりたい!』と思ったんです。私はまだ小学生でしたけど(笑)。そのうち、兄のバンドに加わる形でライブを経験することになりました。その頃に借りていたギターを今も愛用しているんですよ。」 |
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相当に英才教育だったわけですね(笑)。その後もライブ活動を? |
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「はい、中学校3年の時に仲間とバンドを結成して、ライブハウスはもちろん学園祭などでも演奏しました。当時はカバーがほとんどでしたが…。でもギターの魅力・音楽を作る魅力にはますますとりつかれてしまって、ついに一念発起、LAに音楽留学することになりました。その頃、私にとっての理想のギタリスト、スコット・ヘンダーソンに習いたくって。帰国後は、本格的にライブ活動をすることになりました」 |
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その活動が、則竹裕之さん(ds)との出会いにつながるわけですね。 |
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「そうなんです。西宮のライブハウスに出演していた時に声をかけていただいて。その出会いが『club PANGEA』に発展していきました。その活動が、『神様』とさえ思っていたチャーさんとセッションする事にもつながりましたし、本当にギターをやっててよかったなあと思います。山本恭司さんや梶原順さんとの共演も実現しましたし。昔、やっぱりテレビの深夜枠でやっていた『夢の乱入者』なんかで夢中になって見て憧れたたくさんのミュージシャン、その方々とも一緒に演奏できてとても嬉しいです。ギターを教えてくれた兄も、そんな私を見て感涙にむせんでいます(笑)。今は女性ミュージシャンのタマゴをオーディションして、私のバンドを作るプロジェクトも進行中なんですよ」 |
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昔に比べて増えたとはいうものの、まだまだ女性ミュージシャンの層は厚いとはいえないですもんね。音楽人口は増えていると思いますが、女性のミュージシャンはまだまだそんなに多くない。安達さんの活動は多くの潜在的な女性ミュージシャンにも刺激を与えるでしょうね。 |
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「そうなんです。私自身の活動やこのプロジェクトを通じて、優れた女性ミュージシャンを育てたり、音楽をする層も聴く層ももっともっと厚くしたいと思っています。『安達久美がやってるバンドのミュージシャン』ということでなく、それぞれが独自に活動していけるようなミュージシャンを育てていきたいと思っています」 |
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現在の活動もたいへんに充実していますが、さらに今後の夢はどんなことでしょう? |
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「世界に出たい、世界一のギタリストになりたいというのが夢ですねえ。今もたくさんの一流ミュージシャンと共演していますが、世界の舞台でも演奏できるようになりたいです。いちばん近い夢というか、近い将来に考えているのは、たとえばジョン・メイヤーと共演すること。2人ともギタリストですから、どうしても比べられてしまうでしょうけど(笑)でも、ぜひとも一緒にやってみたいアーティストのひとりです」 |
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マイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』でも話題になっているオリアンティも女性ギタリストですし、その夢にはもうほとんど手が届きそうですね。 |
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「オリアンティもそうなんですが、モニターとしてギターメーカー・ポールリードスミスから楽器を提供していただいていることも大きな弾みになりそうです。本当にすばらしいギターなんですよ!」 |
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ロックやジャズでも楽器を演奏する若い人たちが増えていますが、そんな新しい世代に先輩としてメッセージをいただけますか? |
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「音楽はすばらしいもの、楽器を演奏することもとても素敵なことです。楽器は死ぬまでやれます。そして、楽器や音楽を通して『世界』ともつながっていける。私自身、ギターを弾くことで人生が変わり、おもしろいことがたくさんたくさん起こっています。どんな楽器にせよ、絶対にやめないで!演奏し続けて、自分の人生をより楽しいものにしてほしいと思います。私もやりたいことがたくさんあります。今はボーカルも練習中なんですよ(笑)」 |
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小柄で、華奢な安達久美さん。
その外見からは想像できないほどのパワーを感じました。さらなるご活躍を期待しています。ありがとうございました。 |
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