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Jazz People

「村田中」インタビュー
ジャズシーン話題の才色兼備ユニット、神戸初登場!

8月に2ndアルバム「School of Jazz」をキングレコードよりリリースしてメジャーデビューした話題のユニット、「村田中」(村田千紘さん、田中菜緒子さん)。各種メディアで多く取り上げられ、注目度が益々高まっている中、このユニットでは神戸に初登場! 東京のシーンでリーダーにサイドに大忙しのお二人に「村田中」の最新アルバムの事、また今後の展望、そして神戸の印象などについてお聞きしました。

Person

村田中 / むらたなか

やさしく美しい音色を響かせるトランペット、フリューゲルホルン奏者の村田千紘と力強く繊細なタッチで鍵盤を響かせるピアノ奏者の田中菜緒子のデュオ。都内ライブハウスで出会い、デュオでライブを重ねるうちいつしかファンの間で「村田中」と呼ばれるようになった。2017年「村田中」として1stアルバム「Selfie/セルフィー」を発表し、東京、名古屋、大阪とリリースツアーを敢行、ジャズ界の美人デュオとして話題になる。2019年8月キングレコードから「School of Jazz」でメジャーデビューが決定。

村田中 WEBサイト村田中 Twitter村田中「School of Jazz」キングレコードWEB


村田千紘

1986年東京生まれ。小学5年の時にブラスバンドでフレンチホルンを担当し、中学の吹奏楽部でトランペットと出会いコンテストで全国大会に出場し、優秀賞を受賞。高校生になってマイルスデイヴィスにハマる。早稲田大学に入学すると音楽サークルで、ジャズ、ラテン、ポップスなど幅広いジャンルで活動する「アンサンブルリードル」に参加、アレンジ等を経験しプロとしての道を目指すようになる。卒業後トランペット奏者の牧原正洋氏、土岐英史氏に師事しながら都内ライブハウスで活動を始める。リーダーライブやレコーディングなどのソロ活動とヨットレース「タモリカップ」で結成したマリンセーラーズのリーダーもつとめている。2015年12月1stアルバム「PASSION」をanalogmindよりリリース。2017年10月ピアニストの田中菜緒子とのデュオユニット「村田中」で1stアルバム「Selfie」をリリース。

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田中菜緒子

1985年福岡県生まれ。幼少よりクラシックピアノを習い、桐朋学園大学ピアノ科に進学し、在学中には、ブルガリア国際コンクールで1位を獲得。その後、JAZZの勉強を始め、現在まで様々なライブやセッションに参加。御茶ノ水 NARU、六本木 Alfie、南青山 Body & soulなどの老舗でリーダーライブを行う。同時にJ-POPの分野でも、多くのライブ、レコーディングに参加している。2013年〜自身のトリオで上海公演を成功させ、活動の場を海外まで広げている。2015年リーダーアルバム「memories」をリリース。2017年7月26日キングレコードより「I Fall In Love Too Easily」でメジャーデビュー。2017年10月トランペット、フリューゲルホルンの村田千紘とのデュオユニット「村田中」で1stアルバム「Selfie」をリリース。2018年12月ラプソディーインブルーを九州交響楽団と共演。

田中菜緒子 WEB サイト田中菜緒子 Twitter

Interview

アーティストインタビュー by 小島良太(ジャズライター、ジャズフリーペーパーVOYAGE編集長)

インパクトのあるアルバムジャケット! そのアイデアは…

── 8月にリリースされた「School of Jazz」、メジャーデビューアルバムとなりましたが、反響はいかがですか?

村田「そうですね、まずジャケット写真が奇抜だった事の反響が大きくありましたし、スポーツ新聞や雑誌などにも沢山取り上げていただき、それを見た方からも多くの反響をいただきました。」

── 目を引く衣装のアイデアはお二人で考えられたのですか?

村田「田中さんがあのジャージを見つけてきてくれたんです。」

田中「ジャズのアルバムジャケットって、ドレッシーな、かしこまった感じが多いので、もっとポップな感じにしてみたいなと思って。そうする事によって、色々な方に手にとってもらえるのではないかと考えて。あと、村田中、と漢字で書くと、「むらたちゅう」という中学校の名前っぽく見えますので、ジャージのイメージにも合うかなと。」

── 確かにそうですね。アルバム裏にも学校の校章のような「村田中」ロゴも作られていますね。徹底したイメージ戦略!


多くの方に広くジャズを届けたい

── 今回のアルバムで特に聴いてほしいポイントはありますか?

田中「全体的に色々なジャンルの曲を収録して、ジャズをあまり聴いたことがない方でもできるだけ楽しめるように心がけました。「村田中 Blues」はアルバムのために私が書き下ろしたので、自分の中では思い入れのある曲ですね。」

村田「1曲目の「Slow Life」は2人で作った曲で、1stアルバムにも収録したのですが、それから演奏し続けていて、今回も収録しています。前回との違い、熟成していく過程をリスナーの方に楽しんでいただけたら嬉しいですね。」

田中「デュオ以外の編成も収録しています。デュオだけでなく、違う要素があるとアルバムに変化もあって、より楽しんでいただけると思います。」

── スタンダードの選曲については?

村田「スタンダードはそれぞれが持ち寄って、アレンジしたものです。」

田中「バランスよく選曲できたと思います。」


「村田中」、将来はニューヨークへ!?

── 「村田中」として、これから挑戦したい事は?

村田「音楽性はこのままの形で、できるだけ長く続けていきたいなと思っています。あといつかニューヨークでレコーディングに挑戦したいという夢があります。」

田中「私も村田さんと同じく、音楽性はこのままを維持したいと考えています。また、村田中のスタイルはストリングスとの共演が合うのではないかなと思っていて、やってみたいなぁと思っています。」

── 確かにお二人とストリングスの共演はさらに音楽の可能性が広がりそうですね。では、それぞれの今後の展望は?

村田「私の1stアルバムはフュージョンの作品だったので、次に出す時はストレートなジャズのアルバムを作りたいなぁと考えています。前回はプロデューサーの方にサポートいただきましたが、今度は自分で考えて一から作る経験をしたいですね。まだ具体的な編成等は決まっていませんが(笑)。」

田中「アルバムへの参加が続きましたので、ひとまず作品の制作というより、ライブに重きを置いて活動したいですね。自分のリーダーも楽しいですが、サイドでの参加も好きなので、色々なバンドで演奏していきたいですね。」


神戸のジャズファンの方にもっと知ってもらいたい

── 関西のお客様のリアクションは?

村田「関西のお客様は優しい方が多いですし、盛り上げ上手。拍手も大きくて熱いですね!」

── 今回はコンチェルトの船上ライブですが、船上演奏の経験はありますか?

田中「村田さんは豪華客船「飛鳥」での演奏経験があるんです!」

村田「でも、なかなか慣れませんね。けっこう揺れるので、足を踏ん張って頑張らないと(笑)。」

田中「ピアノも座っているから、揺れを直接感じやすいですね。」

── あまりないシュチュエーションですので大変さが伝わってきます! ちなみに、お二人は今まで神戸でのライブ経験はありますか?

田中「神戸北野のクレオールさんで何度かあります。」

村田「私は神戸での演奏は今回が初めてです。」

── そうなのですね! これを機会に是非演奏の機会が増えたらいいですね! お二人の神戸の街の印象はどんなイメージでしょうか?

村田「オシャレですよね〜。横浜に近い印象があります。ジャズと海!」

田中「すごく街並みが好きで、前回来た時には街を散策しました。」

── 今回はお二人、神戸の街を散策する時間はありましたか?

村田中「(声を揃えて)なかったです(笑)!」

── かなりお忙しいスケジュールですものね(笑)。次回はゆっくりできるといいですね。では最後に神戸のジャズファンの方に是非メッセージを!

田中「神戸は上品で素敵なジャズファンの方が多いので、頻繁に来ることが出来たら嬉しいですし、神戸のジャズファンの方々に名前を覚えてもらえたら、もっと嬉しいですね。」

村田「来る機会を増やしていきたいです。神戸のジャズファンの皆様と仲良くなりたいです!」


「村田中」としては神戸初見参のお二人。食事の好みもピッタリだそうで、話されている時も、仲の良さがとても伝わってきました。エンターテイメントとシリアスなジャズのバランスが絶妙なお二人の神戸での演奏機会、是非増えてほしいと思いました。神戸、関西のジャズファンの方も、きっとお二人ともっと仲良くなりたいはずですよ〜。

Live Report

取材・文:小島良太(ジャズライター、ジャズフリーペーパーVOYAGE編集長)

「村田中」クルージングライブ@コンチェルト
2019年10月27日(日) 神戸ハーバーランド・モザイク[神戸市中央区]

“非日常”で味わう、美しき音のコンビネーション

東京のシーンで大活躍中のトランペッター村田千紘さんとピアニストの田中菜緒子さんによるユニット、「村田中」。8月にキングレコードより、その「村田中」による2ndアルバムの「School of Days」をリリースし、メジャーデビューして話題沸騰中のお二人。ハロウィンで賑わうハーバーランドから出航の神戸周遊クルーズ、「コンチェルト」で神戸に初見参となりました。「コンチェルト」ではカップルやご夫婦、友人グループなどがおもいおもいに船の上での時間を楽しみ、心地良い時間が流れています。クルージングも半ばを過ぎた頃、いよいよライブ会場にお二人が登場。それぞれ黒を基調としたドレスアップで優雅な風格を纏っていらっしゃいます。

まずはお二人の共作、最新アルバムにも1曲目に収録されている「Slow Life」からスタート。ライブの始まりにふさわしく、緩やかに心地良い音を発していきます。その音は優しく耳に自然と入って行き、クルージングのプレミアムな雰囲気にフィットしていきます。

続いてはスティービー・ワンダーの名曲「Overjoyed」を。村田さんのフリューゲルホルンの温かいサウンドと、田中さんの穏やかな中に時折聴かせるダイナミックなピアノタッチが印象的な演奏でした。MCでは村田 さん、田中さんそれぞれが挨拶された後に「二人合わせて、村田中です!」と息もピッタリ。村田さんが船の揺れを「船の上、なかなかスウィングしていますね(笑)。」とお話しされていましたが、その揺れも聴き手の方には心地良いスウィング感のように感じるほど、すっかり聴き手の心を早速掴んでいらっしゃいました。3曲目では村田さんがフリューゲルホルンからトランペットに持ち替え、さらに船上をスウィングさせそうな「After You've Gone」を。アップテンポで躍動する田中さんのピアノ、鋭くキレのある村田さんのトランペットが冴え、ジャズの濃厚な世界を鮮やかに表現。元気いっぱいの演奏の後には、映画「カサブランカ」のテーマ曲として広く知られる「As Time Goes By」を披露。情緒溢れる田中さんの音色、ふくよかな音を紡ぐ村田さん、特にエンディングの村田さんの演奏が印象的でした。

二人のコンビネーション抜群の演奏もいよいよラスト。最後を飾るのはライブでも定番となっている「村田中 Blues」。アルバムではトロンボーン、ベース、ドラムスを加えた演奏でしたが今回はデュオバージョンで。親しみやすいメロディと明るい曲調、そして二人の活き活きとした演奏で締めくくり…とはやはりいかず(笑)、お客様からアンコールの拍手が鳴り止みません。そこで2人が披露してくれたのは、「The Water is Wide」。下船時間が迫る中、短くまとめての演奏となりましたが、美しい音色がフロアに広がっていき、心が満たされていきました。

クルージングという非日常でお二人の素晴らしい演奏を聴くという贅沢なひと時。また「コンチェルト」でこういったライブがあれば、是非楽しみたいものです。そして、「村田中」のお二人には是非ともまた神戸でライブをしてほしいと強く願います!お待ちしています!