Denso Ten

Concert Report

第3回ハーバーランド ビッグバンドジャズフェスティバル

■2019年6月23日(日)スペースシアター(神戸)

取材・文 小島良太(ジャズライター・ジャズフリーペーパーVOYAGE編集長)

様々な世代が一堂に集結!!一日中ビッグバンド三昧!

買い物客、観光客で賑わう日曜の午後、ハーバーランドの「スペースシアター」で行われた、「ハーバーランド ビッグバンドジャズフェスティバル」はハーバーランド、西日本アマチュアビッグバンド連絡会、そして関西の大学生が主催するイベント「スイング ジャズ クルーズ」という三者のコラボレーションによって開催されているライブイベントです。中学〜大学の学生ビッグバンド、社会人ビッグバンド、またプロアマ混合のビッグバンドに加えて、毎回関西はもちろん、名だたる国内の有名プロミュージシャンをゲストに迎えて華を添えています。
第3回を迎えた今回も豪華ゲストが目白押し!エリック・ミヤシロさん(トランペット)、守屋純子さん(ピアノ)、小池修さん(テナーサックス)、宮崎隆睦さん(アルトサックス)、関西からは広瀬未来さん(トランペット)、古谷光広さん(テナーサックス)、高橋知道さん(テナーサックス)、横尾昌二郎さん(トランペット)が参加。こういったトッププロとの共演は特に学生の方々には何物にも代えられない貴重な経験、後の財産となる事でしょう。羨ましい!
トップバッターの西宮市立学文中学校「学文ジャズオーケストラ」から早速ゲストプレイヤーの横尾昌二郎さんが客演。何を隠そう、横尾さんはこの学文中学校の卒業生!母校との共演で先輩の風格とスマートな音色を聴かせてくれました。先輩の背中を追って、今回の出演者から次代のプロミュージシャンが生まれるかも!?
続く西宮市立西宮浜中学校「マリナシティ・ジュニア・ジャズ・オーケストラ」は「残酷な天使のテーゼ」を取り上げるなど意趣を凝らした選曲も楽しい演奏でした。
学生バンドの中で個人的に印象に残ったのは蒼開中学校・高等学校「スウィンギングウィロージャズオーケストラ」。広瀬未来さんと共に演奏したアースウインド&ファイアの「September」はサウンドに厚みがあり、原曲に感じる高揚感も上手く表現されていました。アルトサックスの佐々木萌さんの力強いソロ演奏も会場にしっかり鳴り響いていました。
高砂高校、六甲アイランド高校、神戸のジャズイベントではすっかりお馴染みとなった神戸ユースジャズオーケストラも思い切りのいい演奏で会場を賑わせてくれました。ゲスト参加された宮崎隆睦さんの美しいアルトサックスはいつ聴いても惚れ惚れしてしまいます。

奈良女子大、大阪大も神戸の地で多数のお客様の前で好演。打って変わって社会人ビッグバンドは学生バンドよりもさらに統率された一体感ある演奏。ザ・エロージャズオーケストラは高橋知道さんをゲストに迎えてビッグバンド永遠のお手本、カウント・ベイシー楽団からの選りすぐりのナンバーを畳み掛けるように展開、ボーカルの山崎和広さんの粋なステージングも印象的。ファニー・カンパニージャズオーケストラは加山雄三さんの曲など多彩な選曲で、サウンドジャックオーケストラは賑やかなビッグバンドの楽しさを伝える演奏でそれぞれ魅力を表現していました。ウェストウィンズオーケストラはパーカッションが参加されて、より幅広い曲想も披露。
総勢13バンドのトリを飾るグローバルジャズオーケストラはエリック・ミヤシロさん、守屋純子さん、小池修さん3名のゲストをそれぞれ迎えて壮大に。守屋さんアレンジの「My Romance」では精緻な楽曲構成をビッグバンドが見事に演奏。
小池修さんは「Beautiful Love」でこれぞテナーサックス!と言える渋い音色でジャズ通であろうお客様も唸らさせ、グローバルの面々も満面の笑み。それぞれが嬉々として演奏している雰囲気、良いものです。ラストは「Night in Tunisia」。エリック・ミヤシロさんの胸のすくような強烈なトランペットの音色はいつ聴いても感嘆させられます。
ビッグバンドとひとえに言っても、これだけ様々な表現、個性が多彩である事を今回のイベントで改めて感じました。1日でこれだけ幅広い年齢層のビッグバンドを聴けるイベントも稀だと思いますので、kobejazzのイベント情報などで次回開催の情報はお見逃しなく!