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コンサートレポート




■2018年10月28日(日)@SOMEDAY(東京都新宿区)

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レポート

エネルギーあふれる対バンライブ

 それは10月の最後の日曜日だった。世間がハロウィンで盛り上がっているなか、とある町の、とあるバーで行われていたビッグバンドのライブコンサートを見ていた筆者は唖然としていた。ヒタヒタヒタ、、、季節も秋に主導権を握られ、涼しさが人々を落ち着かせているこんな時期に、筆者は汗をかいていたのだ。それは、運動後にかく汗とも、緊張してかく冷や汗とも違う。昔から人々を熱く、暑く、アツくしてきた「音楽」に汗をかいていたのだ。今回は、そんな筆者を盛り上げてくれた「慶應義塾大学K.M.P. NEW SOUND ORCHESTRAと横浜国立大学Bay Sound Jazz Orchestraによる対バン@新宿SOMEDAY」のレポートを書いていこうと思う。

 まず、ライブのトップバッターを務めたのは、横浜国立大学Bay Sound Jazz Orchestra、通称BJOのレギュラーバンドだ。やはりどのようなステージにおいても最初の印象がモノをいう。人の第一印象は3秒〜7秒で決まると言われているが、BJOのレギュラーバンドを聴いていた筆者には3秒も必要ではなかった。ステージで確かに存在するスウィング感がまさに観客の心を揺さぶり、踊らせる。各ソリストはもちろん、バンド全体の一体感とでもいう何かが心地の良い空間を生み出していたのだ。

 そして、続くバンドは慶應義塾大学K.M.P. NEW SOUND ORCHESTRA のジュニアバンドだ。先ほどのステージの余韻がまだ残るなか、ここぞとばかりに始まるカウントベイシーのナンバーのblue chip。そこで感じたモノは先ほどまでとはまた違ったエネルギーだった。それは、一種の若さのようなものだったのだろう。迫力のある冒頭のテーマでほとばしるギラギラとした音たちは観客たちを自然と笑顔にしていった。その後もカウントベイシーのナンバーを中心に構成された曲目で走り抜けていく様は、なんとも清々しかった。

 そして、3番目の演奏に入る。今度はBJOのジュニアバンドだ。このバンドの特徴はなんと言うか、弾んでいる。メロディー、ハーモニー、トゥッティ(全体のサウンド)、ソロなど、それぞれの要素たちが生きている動物のように会場を走り回るのだ。テンポの速い遅いや、音量の大小に関わらず、会場をワクワクさせてくれる演奏に、不思議と筆者も歓声を上げていた。ジャズは踊りの音楽だ。という言葉をよく聴くが、踊ってしまうのは「音」も例外でないのだなと思わせてくれた。

 ここで各バンドの演奏も最後に差し掛かってきたKMPのレギュラーバンドの出番だ。ここで筆者はまたもや唖然としてしまう。空気が変わったのだ。今までの会場を支配していた「若さ」のようなものから一風変わって、「おしゃれ」で「大人」な雰囲気が会場を支配し始め、観客もその空間に魅入ってしまっているのだ。曲が激しくても観客を置いてけぼりにせず、楽しませる、、。そういった意志を感じさせられた。一体今日という1日でいくつ刺激を受ければいいのだろうか。

 そして対バン企画のお楽しみでもある各バンドのメンバーが混ざって演奏するPICK UPバンドの時間になった。やはり普段一緒に演奏しないメンバーでの演奏な分見ているこちらも自然とワクワクしてしまう。カウントベイシーのナンバーでのAipril in Parisでの狼くんの「ワンモアタイム」にはついつい笑ってしまった。きっとこの狼はハロウィンで復活した死霊が紛れ込んだのだろう。

 全く、今日という1日は本当に楽しい時間を過ごすことができた。音楽はやはり演奏するもの一人一人の「味」が出る。それはバンド単位でも言えることだ。こんなに様々な個性を振りまきまくるステージは他にはないことだろう。これからもきっと彼らは、自分たちの「味」を模索し、多くの人間を興奮させるに違いない。

Written by Kei Morikawa

お知らせ

[慶應義塾大学K.M.P. NEW SOUND ORCHESTRA]


About us
 K.M.P. New Sound Orchestraは、1960年に創設された歴史ある団体で、主にスイングジャズや4ビートジャズと呼ばれるジャンルの音楽を演奏するビッグバンドのサークルです。普段は慶應義塾大学・三田キャンパスを拠点として活動し、夏に行われる「山野ビッグバンドジャズコンテスト」(大学生ビッグバンドジャズの全国大会)への出場や、12月に行われるリサイタル(定期演奏会)の開催などを目標に、日々練習に励んでいます。メンバーは、慶應義塾大学の学生を中心に結成していますが、他大学の学生も数多く参加しています。(ex.神奈川大学、国際基督教大学、芝浦工業大学、東京工業大学、横浜市立大学、横浜国立大学、早稲田大学など)
また、各種団体様からご依頼をいただき、パーティのBGMやイベントのファンファーレなどの演奏もさせていただいております。

KMPの組織について
 KMPは、3~4年生を中心としたレギュラーバンドと、1~2年生を中心としたジュニアバンドから構成されており、それぞれにコンサートマスター、バンドマスター、マネージャーがおります。それ以外にも譜面の管理を行う譜面係、大学への各種申請や会合への出席などを担当する日吉代表・三田代表などの役職があります。また、KMPの卒業生によって構成されるOBOG会では、2年ごとに開催される「ALL KMP」というイベントを運営したり、現役メンバーへの楽器の寄贈などを実施しています。

KMPの歴史
1960年 創部
1982年 山野BBJCで入賞(特別賞)
1983年 山野BBJCで優秀ソリスト賞を受賞
1984年 山野BBJCで優秀ソリスト賞を受賞
1985年 山野BBJCで入賞(スイングジャーナル賞)、最優秀ソリスト賞を受賞
1988年 山野BBJCで入賞(敢闘賞)
1992年 山野BBJCで入賞(特別賞)
1995年 山野BBJCで入賞(審査員賞)
1998年 山野BBJCで入賞(審査員賞)
1999年 山野BBJCで入賞(審査員賞)、優秀ソリスト賞を受賞
2000年 部室が50mほど移動
2002年 山野BBJCで入賞(TBSラジオ賞)、優秀ソリスト賞を受賞
2010年 板垣憲さんがOB会長に就任
2016年 佐藤正人さんがOB会長に就任
2017年 山野BBJCで入賞(日刊スポーツ賞)
2018年 山野BBJCで入賞(特別賞)、最優秀ソリスト賞を受賞、学バンアワードを受賞


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