KOBEjazz.jp

ジャズを愛するすべての人へ。こだわりのジャズ情報をデンソーテンがお届けします。

コンサートレポート

第10回タコタコジャズフェスティバル
■2017年10月1日(日) 明石市立西部市民会館 [兵庫県明石市]

レポート

 暑い夏を終えて、ようやく心地いい秋風が音楽の秋のはじまりを告げだした10月1日、第12回TACOTACOJAZZFESTIVALを迎えることができました。今年は、ウェルカム演奏として神戸学院大学のジャズ研メンバー、第二部のプログラムではこの日のステージを目標とした高校生ジャズビッグバンドが出演。 

 そしてもちろん、神戸西から姫路に至る近隣地区で活躍している6つのベテランビッグバンドが共演し、TACOTACOJAZZFESTIVALが昨年から取り組んでいる奏者・聴者の世代間交流をさらに押し進めるかたちとなりました。やる気と才気にあふれる若い奏者達と経験を積んでなお生き生きと輝くベテラン奏者をこのジャズフェスという「舞台」でつなぎ、「客席」においても幅広い年齢層のお客様にジャズの魅力を味わっていただこうとするものです。

 おかげさまで、小さなお子様連れの方、学生の方、年配の方、さまざまな年齢の多くのお客様にご来場いただき、過去最高の来場者数となったことに感謝しています。さてオープニングは、昨年から実施しているウェルカム演奏で来場者の皆様をお出迎え。前述の通り今年は地元で活躍の場所を広げつつある神戸学院大学のジャズ研【Jazz Player's Club】にお願いしました。各パートの奏者を曲ごとに入れ替える程メンバーが増えたという事もあり、女性プレイヤーも多く、若くみずみずしい感性で、本ジャズフェスにご来場されたお客様の期待感を高めていただきました。

 第一部、今年のトップバッターは【Swing Face Big Band】。トランペットやサックスが気持ちよく高らかに吹くパワフルなサウンドが人気ですが、結成20年という節目の年を迎えて大人の深みも加わり、さらに魅力的な音色に進化されていました。

 次は、昨年も2番手で出演していただいた【ブルーサウンズ】。なんと演歌を含むユニークな選曲で会場を沸かせていただきました。30代から80代の現役プレイヤーまで大きな年の差があるビッグバンドですが、その仲の良さが伝わってくるようなほっこりとした演奏が懐かしの日本の名曲とあいまって、ジャズファンならずとも楽しめる和やかなひとときを生み出しました。

 3番手は、プロミュージシャンを含む【POCHI BIG BAND】。オリジナル曲「テーマ オブ POCHI」からスタートするいつものスタイルでスタンダードを含む6曲を演奏。「チュニジアの夜」ではトランペットとアルトサックスの絶妙なバトルがあり、ボーカル曲では低音が心地よく響く男性が2人と艶やかな歌声の女性が1人登場して、大人のジャズの真骨頂が味わえました。

 第二部は、今年の注目バンドでもある地元高校生ジャズバンド【Little Octopus】。メンバーは現在すべて高校生で、昨年末に公募したワークショップで今年の初めから練習を始め、このステージで成果発表となりました。「Take the A train」のピアノソロから始まったその演奏はスタンダードからルパンのテーマ曲を含み、大人顔負けの素晴らしさでコアなジャズファンをもうならせたほど。アルトサックス、トロンボーンなどのソロも魅力的で、これからさらに花開くであろう若いジャズマン達におおいに期待させられました。

 そしてこの後に登場した【Twinkle Jazz Orchestra】は、あえて古き良き時代のジャズの香りをふんだんに盛り込み、経験を重ねた大人の魅力とともにジャズの歴史の深さを感じさせてくれました。オーセンティックな名曲を中心に上品なアレンジが心地いいジャズ。中でも「On the Sunny Side of The Street」の2コーラス目からボーカルを入れたスタイルは、この曲本来の愉しみ方を知っているからこその演奏と言えるかもしれません。

 次は、さまざまな職業のメンバーが集う社会人バンド【Saturday Night Gang Big Band】。トランペット5本トロンボーン5本とメンバーの数も多く、それぞれの個性を活かして高めあうエネルギッシュな演奏がとても魅力的。懐かしいけれど今も新しい素敵なカンザス・シティサウンドを聴かせていただきました。

 今年のトリを飾ったのは、【メイトジャズオーケストラ】。メンバーひとりひとりのテクニックがとても高いため、各パートごとの優れた演奏がビッグバンドという大きな渦となって、トリにふさわしい圧巻のジャズサウンドを奏でていただきました。ラストの「West Side Story Medley」では、映画「ウエストサイドストーリー」の名場面が目に浮かぶよう。夢の時間を締めくくるのにふさわしい選曲でお客様を満足させていただきました。

 懐かしのジャズ、新しい才能のジャズサウンド、王道の名曲、少し異色の選曲…etc、今回のTACOTACOJAZZFESTIVALも、多彩で盛りだくさんの内容で無事開催できました。当日、ホールでたまたま流れてでた音を聴いて小さなお子様を2人連れて来られた若いお母さんもおられました。このように、今後も誰もが楽しめるジャズフェスを目指していきたいと思います。ご来場の皆様、出演バンドの皆様、スタッフの皆様誠にありがとうございました!

出演
 神戸学院大学
 Swing Face Big Band
 ブルーサウンズ
 POCHI BIG BAND
 Little Octopus
 Twinkle Jazz Orchestra
 Saturday Night Gang Big Band
 メイトジャズオーケストラ

 司会:井上裕次郎

[ レポート/TACOTACO JAZZ FESTIVAL 実行委員 森谷 里加 ]