想いを引き継ぎ堂々と、熱気あふれるジャズの祭典

　日本のジャズ発祥地、神戸の夏を彩るイベントとして定着し、多くのジャズファンに親しまれてきた、第33回ジャパンステューデントジャズフェスティバル2017が、8月18日（金）・19日（土）・20日（日）の3日間、神戸文化ホールで開催されました。
　今年は中学生の部21校、高校生の部29校の50校が参加。常連校も初出場校も各校が工夫を凝らしたステージを披露し、演奏後のインタビューでは全力を出し切った達成感で感極まって涙を流す光景も見られました。
　少ない部員で迫力ある音が出せずに苦労したり、歌ってから演奏するというユニークな練習あり、そして、譜面に頼らないアイコンタクトの演奏にレベルの高さと、ステージに賭ける学生たちの想いが伝わってきます。プレイヤーが演奏を楽しみ、観客を楽しませる。これぞジャズの神髄を見せてくれました。
　ゲストにはステューデントジャズフェスティバルのOB・OGで結成された、広瀬未来＆SJF Reunion Bandをはじめ、纐纈歩美＆GRADUATES BAND from 甲陽音楽学院、スペシャルゲストに伊波淑を迎え、いばひでのぶ＆The Big Band of ROGUES（東京キューバンボーイズJr）、SPECIAL BAND from 甲陽音楽学院、スペシャルゲストに片岡雄三を迎え、野々村明＆The Global Jazz Orchestraの5組による、圧巻のパフォーマンスを堪能しました。
　中学生の部の神戸市長賞は、NPO法人リトルチェリーズ「リトルチェリーズ2017」が受賞。単独の小学校のバンドから鹿児島県の小中学生のバンドへと成長し、現在は30余名のメンバーで活動。年間50回以上のステージをこなし、得意とするスイングジャズを披露しました。ベストサウンド賞（富士通テン賞）は、初出場の猪名川町立中谷中学校「中谷ラスト・ジャズ・オーケストラ」が受賞。7年前にビッグバンド形式に変更し、部員がなかなか集まらない中で、日頃の地道な活動が実りました。
　高校生の部の神戸市長賞は、伊丹市立伊丹高等学校「ICHI☆ITA JAZZ Ensemble」が受賞。「日々前進」をモットーに総勢72名の部員を誇り、今回は3年生にとって集大成となるステージとなりました。ベストサウンド賞（富士通テン賞）は、柳学園中学・高等学校「柳学園中高ジャズバンド部 Swinging Willow Jazz Orchestra」が受賞。淡路島唯一の学生ビッグバンドとして活動し、高校生5人と中学生15人が心を一つにした演奏を聴かせてくれました。
　中学生の部の指導講師を務めた藤井司朗さんは「ジャズアンサンブルはみんなで力を合わせていっしょにという要素がありますが、最後は一人ひとりの個人の力が重要になってきます。毎年レベルは上がっていますが、今年はさらにレベルが上がり、もう中学生のレベルではない」と、驚きを隠せない。
　高校生の部の指導講師を務めた宗清洋さんは「今年は選曲がよく、各校の特徴がよく出ていたように感じました。吹奏楽と違い課題曲がありません。ジャズは自由に好きな曲を選んで演奏することができます。コンテスト形式が強くなってきていますが、それがレベルアップにつながっていると思います」と、演奏を讃えました。
　仲間と過ごした時間と苦労が、この日のステージで花が咲きます。高校生活の経験として胸に収めることで、歴史を重ねていくステューデントジャズフェスティバルの価値を高めていくことになるでしょう。