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コンサートレポート



ジャズヴォーカル 紗理 2ndアルバムリリースツアー
■2017/4/27(木)19:00   LeftAlone@兵庫県・芦屋市

レポート

2017年3月22日、4年ぶりとなる2nd Album
And I’LL SING ONCE MORE」の発売記念ツアー。

 紗理さんと言えば、明るくキュートな女性らしさとどこか切ない歌声が特徴。今回は、ジャズシンガーとしてさらに磨きを上げた待望の2nd Album発売を記念したツアー。今回のアルバムはタイトルが示す通り「自分のやりたい楽曲を様々なアレンジで詰め込んだ宝物のような1枚」に仕上がっているそうです。そんな彼女のLEFT ALONE@兵庫県・芦屋市でのライブの様子をレポートします。

 今回のツアーは成田祐一さん(ピアノ)、河村亮さん(ドラム)、中林薫平さん(bass)というピアノトリオでの編成。まず、オープニングは2nd アルバムからの3曲。「S’ Wonderful」、「Just one of those thing」、「Destination moon」。 「Destination moon」はロケットに乗って月へのハネムーンをイメージした楽曲。紗理さんの歌声と相まって優しく甘い雰囲気が会場を包みます。この曲は2ndアルバムには、ギターとピアノのユニゾンとなっているがライブではピアノによるアレンジとなっています。アルバムとライブとそれぞれに楽しめる工夫がされています。

 続いて、「I wish you love」。こちらはジャズのスタンダードナンバーとしても有名だが、もともとはシャンソンの曲。いきなり歌詞が「さよなら」から始まる別れの曲なので、明るくキュートな紗理さんのイメージとは合わないように思えたが、優しくも甘酸っぱい歌声に聞いているお客さんも切ない雰囲気を感じたのではないでしょうか。アルバムでは哀愁ただようアコーディオンが登場するのですが、それは是非アルバムで聞いてもらいたいポイント。

 5曲目は「The Waltz」。ノルウェーのシンガーSilje Nergaardの詩的で美しい楽曲。この楽曲は紗理さんがドライブを楽しんでいる時に、たまたまインターネットラジオから流れて来て、”耳が虜になった”楽曲だとか。聞いた瞬間に好きになり、一目ぼれならぬ一耳ぼれをしたそうです。アルバムでは市原ひかりさんのフリューゲルホルンをフィーチャーしていますが、今回のライブではピアノトリオによる演奏。こちらもライブとアルバムのどちらも楽しめるような仕立てになっています。

 1st set最後は、こちらもジャズスタンダードナンバーとして有名なビル・エバンスの「ワルツ・フォー・デビー(Waltz for Debby)」。ボストンに留学中に出会った楽曲。(英語の)歌詞の意味が分かったことで、さらに好きになったとか。また、ボストンでリサイタルをした時に、英語と日本語で唄った思い出があるナンバーなんだそう。それぞれの楽曲が感情豊かに表現されていて、とても”耳心地”良く、柔和で温かい雰囲気が会場を包み、聞いている人もうっとりと癒されたと思います。

 休憩をはさみ、2nd set。2nd setも1st setに続き、穏やかで優しい紗理さんの世界が会場を包みます。1st アルバムからの「So this is love」、「Be wished witched」と続き、チャップリンの名曲「SMILE」。Bassの中林薫平さんのアレンジによるジャズスタンダードナンバー。優しい歌声で、どこか懐かしく切ない雰囲気に会場が包まれます。「Them there eyes」、今回のアルバムでは”1発録り”で1テイクしか残っていないとか。とにかくライブ感を楽しんでもらえる楽曲にとのこと。河村亮さんのドラムとの掛け合いはライブならでは。

 続く、「La vie en rose」。こちらは紗理さんが憧れの街パリを訪れた際、シャンソンを生演奏で聞きたく、老舗のシャンソンクラブでこの楽曲を聞いたのだとか。楽曲の後半に登場するオルゴールはその時、パリの雑貨屋さんで見つけたものだそうで、少し高かったけど気に入って買ったそうです。アルバムに収録されている曲はアコーディオンで始まる感じがパリの雰囲気をとても表しているように感じます。ライブではピアノとのデュオ。ジャズスタンダードらしい曲に。

 ノリノリなスイングナンバーは「The Lady is a Tramp」。紗理さんが明るく楽しそうに歌っているのがとても印象的。こちらはMVが公開されているので、是非、映像でもチェックしてほしい。

 2ndステージラストは、このアルバムのタイトルの基になった楽曲「The sounds of music」。ミュージカルで有名な曲ですが、紗理さんの幼少のころの思い出深い曲だそう。さらに、ジャズアレンジしたものをこれまで数多くのミュージシャンと積み重ねて来たことで今回のアレンジにつながっているそうです。アルバムの1曲目に収録されていて、まず、このアルバムを手にした方は、オープニングの紗理さんのヴォーカルに”うっとり”と虜になってしまうのではないでしょうか。

 アンコールは、1stアルバムから「How Deep is Your Love」でステージを穏やかに締めくくり。CDとライブとどちらも楽しめる工夫がされているのだけど、紗理さんの明るく優しい、だけど、どこか切なさがある歌声を是非、足を運んで聴いてほしいものです。

  • 【Trailer】紗理 / 2nd Album "and I'll sing once more"
  • 【MV】紗理 / 1st Album "The Sweetest Sounds"

お知らせ

[About SARI/紗理 Vocal]


1985年横浜生まれ。日本を代表するジャズサックス奏者、中村誠一(T.sax)の娘。5歳よりダイアナ石山Song &Danceミュージカル教室に通いダンスと共にミュージカルナンバーを学ぶ。 ミュージカル女優を目指していた高校2年次、エラ・フィッツジェラルドの歌に衝撃と感銘を受け、ジャズヴォーカリストになりたいと思うようになる。2004年洗足学園音楽大学ジャズボーカル科に入学、Dana Hanchard氏に師事する。それと同時にライブ活動を精力的に始め、 在学中から「味の素ギフト」「タイヤ館」「三ツ矢サイダー」のCMソングやナレーションなどでも活躍。

2008年洗足学園ジャズヴォーカル科を首席で卒業。同年、5月公開 覚和歌子、谷川俊太郎、監督のカンヌ国際映画際出展作品 『ヤーチャイカ』の主題歌を唄う。7月渡米。ボストンにあるBerklee College of Musicに留学。Gabrielle Goodman氏に師事し、NYでライブ活動なども始める。

2010年アメリカから帰国後、第30回浅草JAZZコンテストにて銀賞受賞。ディズニーオンアイス2011では、「アラジン」 ジャズミン、「美女と野獣」ベルのパートの日本語吹き替えの歌を担当する。
2013年10月には、待望の自身のデビューアルバム「The Sweetest Sounds」をリリース。音楽雑誌JAZZ JAPANなどで大きく取り上げられ、同年11月、Thelonious Monk Institute of Jazzがサポートするヴォーカルコンペティション”Osaka Asian Dreams Jazz Competition 2013’”で優勝。
現在、ジャズシンガーとして、ソロ活動をする傍ら、ジャズコ‒ラスユニットChai-Chee Sisters(チャイチーシスターズ)"でも活躍中。



[ Release ]AND I'LL SING ONCE MORE/アンド・アイル・シング・ワンス・モア

【PERSONNEL】
紗理 Vocal, Kazoo, Music box(Orgel)
成田祐一 Piano, Accordion
中林薫平 Bass
河村亮 Drums
市原ひかり Trumpet, Flugelhorn
鈴木直人 Guitar

【TRACK】
01 The sound of music
02 Just one of those things
03 Smile
04 Destination moon
05 The Waltz
06 Too darn hot
07 'S Wonderful
08 I wish you love
09 Them there eyes
10 La vie en rose
11 The Lady is a tramp
12 Every time we say goodbye
  ※詳細はこちらをご覧ください。

[ Live Information ]

6/17 (土) 大阪・梅田 RoyalHorse
【TIME】 1st19:00 / 2nd 21:00
【CHARGE】SS=3,500円 S=3,000円 A=2,500円 B=1,500円 barcounter=1,000円
【予約】☎︎ 06-6312-8958 大阪市北区兎我野町15-13 ミユキビル1階

6/18(日) 広島 JazzClub Bird
【TIME】 1st19:00 / 2nd 20:30
【CHARGE】 予約¥3500 当日¥4000
【予約】☎︎082-241-6906 広島県広島市中区薬研堀10-11ハウスアピア B1


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