コンサートレポート バックナンバー
SHALL WE DANCE? inKOBEまつり
シャルウィダンス?イン神戸まつり
誰もが気軽にダンス・ダンス・ダンス、初夏の神戸の陽気なダンスホール。
文字通り雲ひとつない、カラリと晴れたこの日。
お馴染みのパレードや屋台、神戸まつりでにぎわう三宮に、巨大なダンスホールが出現しました。しかも、聞こえてくるのは生バンドによるご機嫌なビッグバンド・ジャズ。
ここは神戸サンボーホール、「SHALL WE DANCE? in KOBEまつり」の始まりです。
生バンドのミュージシャンや三々五々集まってくるたくさんのダンスファン。
体育館並みに広々としたスペースの周囲にはぐるりとテーブル席も用意されていましたが、すぐに空いている席を見つけるのが難しくなりました。
たくさんの人々でホールが熱気に包まれました。
開会挨拶の後にはパソドブレ、その後もスタンダードスロー、ワルツ、ルンバにチャチャ…。フリーで踊る時間の合間には、あでやかなドレスに身を包んだプロのダンサーや大学のダンス競技部によるデモンストレーション。さすがに見事、ダンス経験のある人もない人も思わず息を詰め、華麗なステップに見入っているようでした。
開場して一時間も経つともう既に開場は満杯、ダンススペースにもたくさんの紳士淑女があふれています。
映画「SHALL WE DANCE?」で、あらためて社交ダンスの魅力に気付いた人もたくさんいるのでしょう。社交ダンスファンの層の厚さ、社交ダンス人口の多さには驚かされます。老若男女を問わず、洋の東西を問わず、たくさんの人々が楽しく踊っています。「競技ダンス」としてのイメージが強くなってしまった感もある社交ダンスですが、ここには本来の「社交」ダンスが生きています。誰もが気軽に、「踊りませんか?」と声をかけ(もちろん男性からですが)、その曲が終わるまでの数分を共に過ごし、曲が終わるとにこやかに挨拶を交わして別れる…。ホールの人々はまるで舞踏会に招かれた貴族のようです。ただ、貴族の舞踏会といくらか違うこともありました。
ドレスやスーツで盛装してダンスを楽しむ善男善女に混じって、普段着、ジーパン・T シャツで踊っている人の姿も多く見受けられます。そして、それぞれがなんの違和感もなく一緒に踊っています。女性同士で踊っている人もいます。形にとらわれない自由な印象、それは、古くからの港町である神戸の自由な気風とも共通するものかもしれません。
第一部の最後には、簡単なレッスンを含んだダンスタイム、「みんなでダンス!!」。ベテランも初心者も多いに楽しんでいる様子でした。
社交ダンスの裏側で・・・
このイベントが大いに盛り上がったのは、社交ダンスのバックで流れる音楽が生演奏だったこともあるからでしょう。第1部では学生ビッグバンド、第2部では社会人ビッグバンド・プロミュージシャンによる演奏が披露されました。
普段演奏するステージとは違い、自分たちの奏でる曲に合わせ、目の前でお客さんがダンスを踊る。そんなステージがとても新鮮だったのでしょう、演奏者達も生き生きと目を輝せていました。
演奏する側も、踊る側も楽しみながら「シャル・ウイ・ダンス」という一つの空間を作っていました。
出演バンド
第1部 神港学園神港高等学校、神戸市立葺合中学校、神戸市立原田中学校、甲南中高等学校、甲南大学
第2部 S・Fビッグバンド、シャンソン歌手小野久寿代、ケーコ・ケーキ、小野遼 & フレンズ
神戸文化服装学院によるファッションショーも。
さて、ダンスの時間が続いた後、神戸文化服装学院によるファッションショー。ダンスに興じていた人々も席に着き、昼食をつまんだりしながらも斬新なファッションに身を包んだモデルたちに見とれているようでした。
昼食持参の人も多いようでしたが、ダンススペースの後ろには飲食スペースが設けられ、インド料理と多国籍料理の店が出店しています。演奏を終えたバンドの学生たちやお腹を空かせたダンスファンがそれぞれにカレーやソーセージをほおばっています。それぞれに美味しそうなお皿を手に、リズムに合わせて体を揺らせていたセーラー服のミュージシャンの姿も印象的でした。
主催者コメント ページトップへ
主催者の粟生密弘さん(右)
バンドの演奏でダンスを楽しんでほしい。
「兵庫の町づくり」の一環としてスタート、その後神戸まつりのイベントに成長したというこのイベント。
「プロのダンサーにデモンストレーションで踊ってもらえる機会はとても珍しいこと。得難い機会だと思います。それと同時に、生バンドの演奏で踊るという経験を楽しんで欲しいですね」とは主催者の弁。
開場に来た人々の中からは、「ふだんダンスに縁のない人でも、実際に踊ってるところを見られるからエエなあ」という声も聞こえました。
爽やかな初夏の一日。
日が西に傾くまで、たくさんの音楽と笑顔がこの陽気なダンスホールに溢れていました。