バックナンバーページへ

ConcertReport・コンサートレポート

TACOTACO Jazz Festival 2012

タコタコジャズフェスティバル2012/2012年9月22日(土・祝) 明石市生涯学習センター9F 子午線ホール [兵庫県・明石市]

レポート
PAGE TOP

Twinkle Jazz Orchestra

TACOTACOジャズフェスティバル2012のトップバッターを飾ってくれたのは、今や名実ともに明石を代表するビッグバンドとなった「Twinkle Jazz Orchestra(トゥインクルジャズオーケストラ)」、略して「TJO」。メンバーのみなさんは練習熱心で、それでいてお酒大好き!!というキャラクターもあってか、パワフルさやバンドの一体感が、「TJO」の大きな魅力となっています。
オープニングから「ガツン」とビートを効かせた迫力ある演奏、要所に出てくるソロプレイを、客席の誰もが堪能されたと思います。そしてこのバンドのもう1つの自慢である明石出身のヴォーカリスト「赤木まや」が力強い歌声でバンドをしっかり支えていました。

ブルーサウンズ135°

古き良き時代のジャズをこよなく愛するビッグバンド「ブルーサウンズ135°」のメンバーは、半世紀以上もラッパを吹き続けているという70歳後半の大先輩がチラホラ。さらにバンド歴5年未満の30歳代の若人(?)も加え、幅広い音色を生み出しています。あるお客様は1曲目の世界音楽巡りメドレーに注目されて「曲のチョイスとアレンジがユニークでとても愉しませていただきました。ベテランならではのジャズですよね」とおっしゃってました。

S.F.BIGBAND

毎回パワフルで爽やかな演奏が、幅広い層に人気のビッグバンドです。特に今年はトロンボーン4管の演奏があり、お客様にも楽しんでいただけたようです。S.F.BIGBANDでは、若い女性の活躍も目立っていますが、その若さをしっかり受けとめているベテランメンバーがさらに力強さあふれるエネルギッシュなプレイを得意とするところも大きな特長。その絶妙なマッチングが素晴らしく、彼らの大きな魅力の秘訣だと思います。

富士通テンビッグバンド

結成2年目ながら、若さとともに落ち着いたまとまりのある演奏ができるのがこのビッグバンド。同じ企業人ということもあるでしょうが、優れた女性リーダーがバンドを上手にまとめあげていることも大きな要因。だからこそ「イパネマの女」から始まり、男性ヴォーカルが見事にはまった「ルパン3世のエンディングテーマ」まで多彩な曲に挑戦していても、一本筋の通ったサウンドが奏でられるのだと思います。今回はトランペットのパートをサックスにアレンジしていましたが、 それも意外に聴きやすく、会場全体が和やかな雰囲気になったステージでした。

Big Band 'A

これぞまさにプロ・ビッグバンドといえる圧倒的な迫力で「心躍るジャズ」を聴かせていただきました。管楽器の層の厚さは言うまでもなく、よどみなく流れる様なパフォーマンスはとてもスタイリッシュ。エンターテインメント性の高い演奏、はりのあるパワフルなヴォーカルとの一体感で、とあるジャズ愛好家曰く「金色にふくらんで輝くような音色の集合体」だとか。上質なジャズを聴く幸福感にひたれるひとときでした。

JAZZ PARTY ☆ BIG BAND

プロの後の演奏という事もあって「頑張れ!」と少し応援モードで見ていましたが、しかしそんな大人の杞憂をよそに、プロドラマー田中ヒロシさんを迎え、高校生らしいアップテンポな演奏で中高年の方々にも馴染み深い曲「American patrol」から始まり「The chicken」ではどのソリストも堂々とした演奏で大人にひけをとらない大きな拍手を得ていましたね。この若いプレイヤー達のライブが、一気に客席を味方につけたように感じました。お客様のひとりには 「私達が高校生の時よりも、ずっと良くジャズを識り、しかも身につけて、それがしっかりと客席まで伝わってくる」とまでおっしゃっていただけました。

メイトジャズオーケストラ

1曲目「On Green Dolphin Street」の第一声からとても豊かな音色で魅了されるのはやはり38年の歴史の深みのためか、メンバーの幅広い年齢層のなせる技なのでしょうか、「とにかく安心して聴ける」とよく言われるのが「メイトジャズオーケストラ」さんですね。今回も、じっくり聴かせる曲、楽しくスウィングする曲、どちらも心地よく、お客様に喜んでいただいていました。また、芸達者で多彩なメンバーを活かして、たくさんのソロをまわしていったところが秀逸で、独自のアンサンブルも楽しめました。

本町JAZZ倶楽部

小気味の良いピアノから始まったこのコンボは、しっとりとしたジャズナンバーで華やかなビッグバンドから一転、客席に秋の宵の甘い空気を運んできました。メンバーそれぞれがジャズを自分らしく楽しんでいるという姿勢は、お客様にも共感を得ていたのではないでしょうか?もちろんテクニックも申し分なく、明石のジャズシーンでは名の通ったギタリストから、かつて大阪でプロとして活動していたピアニスト、最近活動の幅がぐんぐん広がっているベーシスト、 三人三様の個性で聴かせてくれるヴォーカリスト達と、質の高いメンバーがそろっています。まだ始めて間もないと語っていた男性ヴォーカルにいたっては、「プロなのか?」と尋ねたお客様がいたほど。さらに最後の女性ヴォーカルは、情感あふれる声とパフォーマンスで難曲「I remember Clifford」を堂々と歌い上げました。

[プロゲスト] ~新井雅代と愉快な仲間達~

昨年も来ていただいた新井雅代さんに、今年はドラム・田中ヒロシさんとのコンボスタイルでTACOTACOフェスティバル2012の大トリとして出演していただきました。それは、歌と演奏はもちろん構成も曲目も、プロの神髄ともいえる本格的なジャズライブであり、ステージ終盤になってビッグバンドの終了とともに帰ったお客様がいらっしゃいましたが、その方達は、とても、とても、もったいないことをされたと言わざるをえません。演奏は言うまでもなく素晴らしく洗練されていて、緻密で、魅惑的。せつないインストゥルメンタルの曲がどんどんクレシェンドしていく様に客席は釘付けになっていくのが伝わってきました。そして3曲目に新井雅代さんの登場。華やかでお洒落でいて優しく心に染み込んでいくその歌声は、本フェスティバルを見事にしめくくっていただき、そこに集まった明石とその近郊のジャズファンの方々に、ジャズをおおいに満喫した秋のこの日の思い出を、最良のカタチで刻み込んだと思います。

[ レポーター/TACO TACOジャズフェスティバル2012スタッフ 森谷里加 ]

コメント
PAGE TOP

藤原 祥二さん(TACOTACOジャズフェスティバル2012 実行委員長)

 今年でこのTACOTACOジャズフェスティバルも7年目を無事迎えることができました。これも明石のジャズファンの皆様の想い、個人様・企業様のご支援の賜物と感謝致しております。
 「明石のジャズ演奏家が一堂に会するイベントをやりたい!」という強い想いでがむしゃらに始めた本フェスティバルでしたが、回を重ねるごとに「出演者中心のジャズフェスティバルではなく、ご来場のお客様に楽しんでいただけるフェスティバルにしたい!」という意識がだんだんと芽生えて参りました。昨年は明石のジャズスポットで活躍されているコンボバンド(小編成)の演奏を中心に楽しんでいただき、お陰さまで入場制限がかかるほどの大盛況となりました。今年は2年ぶりに明石にゆかりのあるビッグバンドを中心に、明石でおなじみのコンボバンドのほか、招待演奏として「富士通テンビッグバンド」、さらに、ゲストとして関西でご活躍のヴォーカリスト新井雅代様のグループをお迎えし、バラエティー豊かな内容となっております。
 また、今年のフェスティバルの新たな試みとして、出演するそれぞれのバンドにコンサート運営にかかわる役割を担っていただいたことです。出演バンドが実行委員会と一体となって、ステージ進行担当、受付担当、会場案内警備担当、プログラム制作、2次会担当・・・などの役割を担い、お客様が楽しんでいただけるコンサートを成功させるべく運営致しております。このスタイルが、今後の明石でのジャズイベントの新たな前進につながることを願っております。最後になりましたが、今回ご来場いただいたお客様に深く感謝申し上げます。