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ConcertReport・コンサートレポート

Yamanakako Jazz Competition in Kirara

2012山中湖ジャズ・コンペティション in きらら/2012年8月4日(土) 山梨県・山中湖交流プラザきらら シアターひびき

レポート
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「曲への大好き感がよく出ていた」(吉田氏)と絶賛された社会人バンドTokyo F.O. Lab Bandが優勝。思いがけない結果に万歳三唱し、感激するメンバー。


美しい風景のなか、のびやかに演奏する地元・富士学苑中学高等学校 Moon Inlet Sounds Orchestra


「デリケートなボイシングを自然に再現」(古谷氏)と好評だった慶應義塾大学 Light Music Society

湖畔の爽やかな自然のなかでビッグバンドを楽しむ

 今年で2回目となる「山中湖ジャズ・コンペティション inきらら」。
このイベントの魅力のひとつは、なんといってもロケーションのすばらしさです。ステージは湖畔に面した広大な公園の一角にあり、正面には青々とした芝生広場、背景にはダイナミックな富士山。そしてその間を駆け抜ける爽やかな風。会場からは演奏する人も聴く人も、避暑地の夏を存分に味わいながら、大好きな音楽を堪能している様子が伝わってきます。
とはいえ、ステージではみな真剣そのもの。トップの横浜市立大学 セカンド・ウィンド・ジャズ・オーケストラの演奏がはじまると、空気は一転、みな演奏に集中します。
今回は学生ビッグバンドのほか、社会人ビッグバンドも参加し、関東周辺の全6バンドがのびのびとした演奏を披露。ゴードン・グッドウィン、ボブ・ブルックマイヤー、ミシェル・カミロなど、バラエティに富んだ選曲が印象的でした。

 審査は審査員3氏が、チェックシートに採点し、出演したバンドをそれぞれ講評。最終的には1位から3位の入賞バンドを決定するというシステムです。
結果は、第1位が唯一の社会人バンドTokyo F.O. Lab Band、第2位が横浜市立笹下中学校 SASAGE JAZZ ENSEMBLE ORCHESTRA、第3位は慶應義塾大学 Light Music Societyでした。ただ順位よりもむしろ現役トップミュージシャンの3氏から、ステップアップに役立つ具体的で丁寧なアドバイスを受けられる、という点こそがこの大会に参加する最大の魅力といえるでしょう。
全体の講評では「それぞれの個性がよく出ていた」(吉田 治氏)、「技術は高いので、音楽的解釈にまで踏み込んで」(羽毛田 耕士氏)、「音楽に向ける感性を大切にしてほしい」(古谷 淳氏)など、出場者のレベルの高さをうかがわせる内容でした。
中でもTokyo F.O. Lab Bandの演奏は、技術はもとより、楽曲に対する思い入れの深さや音楽的表現といった「オトナの力」(吉田氏)で会場を魅了し、これからの社会人バンドの可能性を感じさせてくれる、頼もしいものでした。

 審査の集計を待つ間、吉田氏、羽毛田氏、古谷 淳トリオが共演し、白熱したセッションを披露。普段なかなか聴けない貴重な顔合わせは、参加者にとってもうひとつの楽しい「おみやげ」になったのでは。
都心のホールとはひと味違う、自然のなかで音楽することの心地よさ。
「山中湖ジャズ・コンペティション inきらら」は、この空の下で、来年もまた活き活きとしたジャズを響かせてくれるに違いありません。

■出場バンド(出場順)
  • 横浜市立大学 セカンド・ウィンド・ジャズ・オーケストラ
  • 富士学苑中学高等学校 Moon Inlet Sounds Orchestra
  • 芝浦工業大学 College Society Jazz Orchestra
  • 横浜市立笹下中学校 SASAGE JAZZ ENSEMBLE ORCHESTRA
  • Tokyo F.O. Lab Band
  • 慶應義塾大学 Light Music Society
■審査員(敬称略)
  • 吉田 治(サックス奏者、作編曲家)
  • 羽毛田 耕士(トランペッター、作編曲家)
  • 古谷 淳(ピアニスト、作曲家)

取材協力:BIGBAND!編集部