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ニューヨークを拠点に活動するJack Cortner率いるビッグバンドのデビューアルバムです。トロンボーンのジム・ピュー、サックスのデイブ・トファニ、ピアノのビル・メイズ、ドラムスのジョン・ライリー等第一線で活躍するアーティストに加え、ゲストにトランペットのマーヴィン・スタムを迎え万全の布陣です。東海岸特有のサウンドに魅了されること間違いなし!是非お聴きいただきたいので、紹介させていただきます。 |
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NYのアレンジャー、Jack Cortnerのビッグバンドのアルバムが出てきました。Jack Cortnerは、主にはミュージカルやTV方面で永年活躍している人であり、パトリック・ウィリアムズと仲が良いようです。フィーチャーされるのは彼と40年来の付き合いである名手、マーヴィン・スタム。マーヴィンはリードもソロもこなせる名手であり、アメリカではボビー・シューと同様にクリニシャンとしても著名な存在です。非常に温厚な人なのですが、その性格が音に出てるような気がします。メンバーも非常に豪華で、NYの凄腕スタジオミュージシャン揃い踏みと言った感があります。ジェフ・ミロノフがカッティングを刻むのも非常に珍しいのですが、これもジャックやマーヴィンの人脈の為せる技でしょう。そして、ドラムスがジョン・ライリーであることから、これは間違いなく良作であると、CDを聴く前から確信できました。
肝心の音楽ですが、非常にオーソドックスです。
1曲目の「Who's at Talkin'」は挨拶代わりのアップテンポのブルース。マーヴィンが快調に飛ばしています。彼の音はハイノートであってもスクリームっぽくならず太くて柔らかいのが素晴らしいですね。
2曲目はは馴染み深い「Softly,
As In A Morning Sunrise」。ソロ後のセクションワーク、そのダイナミクスの流れをコントロールするジョン・ライリーが素晴らしい。ビッグバンド・ドラミングのお手本でしょう。
3曲目の「Ballad
For Betsy」はその名の通りバラードで、トロンボーンのジム・ピューがフィーチャーされます。
4曲目の「Etude」ではピアノのビル・メイズがフィーチャーされます。彼もマーヴィンとは長い付き合いです。筆者はマーヴィンのカルテットで見ましたが、その時のモダンな印象とはちょっと違って、ちょっと古い目のフレーズを弾いたり曲の構成の中で自由に遊んでいます。
5曲目の「Secret
Love」はスタンダードですが、これはマーヴィンがクリニックをする時に使うためにジャックに書いてもらった譜面だそうです。
6曲目はグローフェの有名な「On
The Trail」です。ここではベイシー・ライクなイントロから始まり、鉄壁なアンサンブルが堪能できます。
7曲目の「Limehouse
Blues」も古い曲です。この曲はアップテンポが定石というイメージだったので、ミディアムテンポっていうのはちょっと意表を突かれました。ここではブラス隊がプランジャー使ったりしてますが、このようなミュートの指定は、いかにもベテランの人だという感じがします。
8曲目の「Slowdown」はスローバラード。各ソリスト共、永年のNYのスタジオで生き抜いてきた証とでも言うような非常に味わいの深いソロで楽しませてくれます。
9曲目の「Flimflam
Ma'am」はミディアムのジャンピーなナンバーです。ベイシーのレパートリーであってもおかしくないような雰囲気があります。
10曲目はタイトルチューンの「Fast
Track」。アップテンポですが、例えて言うと飛ばしてるんだけどエンジンの馬力が巨大なので、そんなにエンジン回さなくても軽々と走る、みたいな感じを受けます。
最後の曲「Lover
Man」、シメはバラードです。これもマーヴィンのクリニックで使うために書かれた譜面です。恐らくはクリニックを受講する学生と一緒に吹いたりするのでしょう。シンプルで無駄のない良い譜面だと思います。
本作はジャック・コルトナーとマーヴィン・スタムの永年の友情の結晶であると思います。私は日本でもマーヴィンにボビー・シューと同じくらいの知名度があって当然と思っているので、この作品をきっかけにもっと彼が知られてもいいのになぁと思います。アルバム自体はジャックのセルフ・プロデュースですが、6-9曲目にギターの入ったトラックを固めているのは、通しで聴く時に途中で気分転換というか「おっ?」って思わせる彼の戦略でしょう。こういう曲の並べ方も含めてアレンジャーなのだなぁ、と感じました。
レビュー協力:辰巳哲也 |
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1. Who's at Talkin' [ Marvin Stamm ]
2. Softly, As In A Morning Sunrise [ Hammerstein II/ Romberg ]
3. Ballad For Betsy [ Jack Cortner ]
4. Etude [ Jack Cortner ]
5. Secret Love [ Webster/Fain ]
6. On The Trail [ Ferde Grofe ]
7. Limehouse Blues [ Furber/Braham ]
8. Slowdown [ Jack Cortner ]
9. Flimflam Ma'am [ Jack Cortner ]
10. Fast Track [ Jack Cortner ]
11. Lover Man [ Davis/Ramirez/Sherman ] |
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Trumpets- Bob Millikan, Brian O'Flaherty, Danny
Cahn, Tony Kadleck, Bud Burridge,
Trombones- Jim Pugh, Tony Studd, Birch Johnson, Bruce Bonvissuto,
Bass Trombone- Paul Faulise
Saxophones-Lawrence Feldman, Jerry Dodgion, Dave Tofani, Dennis Anderson,
Kenny Berger, Ronnie Cuber,
Guitar- Jeff Mironov
Piano- Bill Mays
Bass- Jay Anderson, Martin Wind
Drums- John Riley
Jazzed Media JM1023 |
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1962年生まれ。まっとうな会社員だったが、ビッグバンドの世界にのめり込み楽譜やCDの個人輸入にはまり脱サラ、ミュージックストア・ジェイ・ピー設立。現在に至る。 |
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ここで、ご紹介したCDは、DAVE鈴木の運営するミュージックストア・ジェイ・ピーのホームページ http://www.musicstore.jp/
index.php?afid=kobeで購入出来るほか、山野楽器銀座本店、ヤマハ銀座店CD売り場、タワーレコード全店、ジュージヤ梅田ハービスENT店などでご購入いただけます。 |
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